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オープンイノベーション時代の特許・技術流通と知財翻訳の役割

オープンイノベーション時代の特許・技術流通と知財翻訳の役割 150 150 日本アイアール株式会社

「特許流通ニュースメール」平成20年度第12号 2008.9.16
発信者:独立行政法人工業所有権情報・研修館:JAPIO:フジサンケイBG-i
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┌┐【インタビュー】
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◆日本アイアール(株) 矢間伸次社長に聞く
「オープンイノベーション時代の特許・技術流通と知財翻訳の役割」

――オープンイノベーション時代への突入が産学官で大きな話題になっている。オープンイノベーションとは企業や研究機関等が独自の研究開発体制や独自に開発した特許・技術等にこだわらずお互いに持ち寄って、機関や国の内外を問わず多面的な連携を進めることでイノベーション力を強化し、社会の発展に貢献していこうという手法である。ではこの時、特許・技術流通はどうなるのだろうか。知財翻訳の役割とは何か。知財管理システムや特許流通コンサルティング、知財翻訳支援など幅広い活動を行っている日本アイアール(株) 矢間伸次社長に聞いた。

オープンイノベーション時代、すなわち国際化の時代に入るといくことですが、この時に重要なのは世界の各国が常識的としてすでにやっていることがらを日本の企業や大学がしっかりやっていけるか、関係する当事者の意識を変えられるか、そして彼らを弁理士などがしっかりとフォローしていけるか、ここにかかっていると言えるのではないでしょうか。はっきり申し上げて、日本の特許システムは今、非常に危機的な状況に差し掛かっていると言っても過言ではないと思っています。

現在の状況を説明すると、過去何十年もの間、続けられてきた特許明細書の作り方を全面的に止めて、新しい発想の作り方に改めるべき時にきています。今、特許流通を日本でも盛んに行うようになってきましたが、実はこれは知財の世界でいうと欧米に10年も20年も遅れたことをやっているのです。先進国ではすでに“権利行使”の時代に突入しています。すなわち、基本特許を創り出し、それを世界各国へ出願し権利化して、その国の企業がその国の人たちのために製品を作る(周辺技術の開発)際に基本特許の使用料を収益として獲得していくという手法です。

日本人はいまだにアナログ的な物作り能力の高さにこだわっていますが、今後はデジタル的な物作り、ソフトウエアの時代に入ります。こうなると世界のどこで製品を製造しても同レベルのものができますから、物作りでは原料と人件費が安い国が勝つ。中国やブラジル、インド、ロシアなどです。当然、日本の現状は基本特許を創り出す欧米方式を実行しなくてはいけない位置にありますから、自分たちが発明したものを各国へ特許出願して権利を獲得して、それを各国の製造企業に使わせる(周辺技術の開発はその国のニ-ズから生まれる)ことが必要になります。

では、それができるのでしょうか。答えはノーです。実は日本の特許は各国で使える状態になっていない場合が非常に多いのです。どういうことかというと、基本特許を各国で使わせるには、特許明細書の書き方が事業を想定できるような“事業仕様書”のような形態になっている必要があります。説明の順番や論理の展開が構造的で、平易な文で書かれていること。これが世界の標準的な特許明細書のあり方です。理解も飜訳もしやすい状態です。しかし日本特許の明細書を見てもらえばわかりますが、何を書いているか意味不明な文章が多く、飜訳できないのです。

この背景には、これまで日本の企業等は欧米の基本特許を用いてその周辺特許を数多く獲得するというやり方で日本企業同士の狭い世界での競争を繰り広げてきたという経緯があります。周辺特許は量が重要なところがあり、質より量で対抗するため、とにかく出願していたのです。そしてこのような特許明細書を弁理士は次から次へ書かねばならなかったということがあげられます。また日本の審査官は他国に比べると非常に親切で、審査をする時によく調査をして理解の努力をし、また出願者に不備の指摘までしてくれるので、出願側もしっかりした“事業仕様書”のような明細書を作らねばという意識も高まらなかったというわけです。

このような従来の日本的な特許明細書が国際化の時代に通用するはずはありません。外国語に飜訳すると日本語でも曖昧な文章がさらに何がなんだかわからなくなります。元が意味不明な明細書ならば、それを海外の特許事務所や翻訳会社に渡しても、彼らは修正を指摘せずに、そのまま出願してしまうでしょう。審査の甘い海外でもし特許がとれたとしても裁判で争うことになれば、欠陥品の翻訳明細書は到底使いものにならず、負けてしまうことになります。日本の特許明細書が、このような状況で特許流通がうまく成功するでしょうか、それは無理です。

オープンイノベーションの時代になってきたということは、そして今、日本が欧米をキャッチアップして行こうとしているということは、特許・技術を隠そうというやり方を捨てて、広く開示していき権利行使していこうということなのです。そこには訴訟がつきものになる、すなわちしっかりとした特許出願が不可欠です。正確に飜訳でき各国の人が理解できるような形になった明細書を作る意識が必要なのです。それは日本の大企業のみならず、中小・ベンチャー企業にとっても同じように重要であり、特許流通を行う人々も今こそ認識しなくてはいけないのです。