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中国特許審査指南2017改正のポイント

中国特許審査指南2017改正について

中国知的財産サービスセンター株式会社
中国弁理士 王 礼華

2017年4月1日より施行されている「中国特許審査指南を改正する決定」は、ビジネスモデルクレーム特許保護、コンピュータプログラムに係わる発明保護対象及びその権利要求書の書き方、化学分野の実験データ補足提出、無効請求の補正方式、無効宣告の理由の追加及び証拠補足、包袋の閲覧や複製の緩和、財産保全による中止手続きに関して重大な影響を及ぼす改正です。以下、各改正のポイントについてご紹介します。

 

1.ビジネスモデルクレーム特許保護の明確化


改正点

第二部分第1章第4.2節(2)において、「【例えば】ビジネスモデルに係るクレームは、ビジネスの規則及び方法の内容を含むとともに、技術的特徴も含む場合、専利法第25条に基づきその専利権を取得する可能性を排除してはならない。」が追加された。

改正の背景と影響

インターネット技術の発展により、金融、保険、証券、貸借、オークション、投資、マーケティングなどの領域において、新たなビジネスモデルが絶えず生まれている。これらビジネスモデルは市場・ユーザに良い影響を与え、資源配置及び流動効率の向上をもたらしている。

ビジネス方法そのものは保護適格性を有さないが、請求項に技術的特徴が含まれているのであれば、保護適格性ありと判断される。今回の改正により、ビジネスモデルに係るクレーム(ビジネスの規則及び方法+技術的特徴)が中国においても許可される可能性を高めている。

 

2.コンピュータプログラムに係わる発明


2-1.保護対象の明確化

改正点

第二部分第9章第2節(1)において、二箇所の「コンピュータプログラム」が「コンピュータプログラム自体」に修正された。

改正の背景と影響

審査指南第2部分第1章で「コンピュータプログラム自体は、知的活動の規則及び方法に該当するので、保護適格性を有さない」と規定されている一方、コンピュータプログラムに係わる発明の審査基準を規定する審査指南第2部分第9章では「コンピュータプログラム」としか規定しておらず、他章の「コンピュータプログラム自体」との相違について誤解を招いていた。

中国特許審査指南では、「コンピュータプログラム自体」は、知的活動の規則及び方法であるとして、専利で保護する客体にならない。一方、「コンピュータプログラムに係わる発明」について、例えば、「媒体+コンピュータプログラムフロー」の発明は、上述した保護対象外の主題に該当しない。

著作権法が保護しているのはコンピュータプログラムそれ自体であり、特許法が保護しているのはコンピュータプログラムフローの前後順序に基づき、自然言語で記載された全体の技術案であると、両者の保護対象をより明確にしている。

従って、今後、中国では、「コンピュータプログラムに係わる発明」について、「ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という媒体クレームが認められると考えられる。

2-2.審査例9の削除

今回の改正により、審査例9が指導意義を失ったので、審査例9が削除された。

2-3.権利要求書の書き方

改正点

第二部分第9章第5.2節において、「即ち」が「例えば」に修正され、「当該構成部は、ハードウェアを含むだけでなく、プログラムも含むことができる。」が追加され、「当該コンピュータプログラムの各機能がどの構成部で如何に果されるかについて詳細に記述しなければならない。」が削除され、「機能モジュール」が「プログラムモジュール」に修正された。

改正の背景と影響

現状のコンピュータプログラムに係わる発明の権利要求書は、表現方式が単一であったり、発明が表現しにくかったりした。また、保護範囲に対する理解に異議が生じやすかった。

今回の改正により、元閉鎖式記述から開放式記述に変更となったり、装置クレームの構成部分はプログラムを包含することができることが明確化されたりした。また、本改正はプログラムを装置クレームの構成部分とすることができることを明確にしたものであるので、発明の改良点がコンピュータプログラムのプロセスだけにある製品の請求項を、更に直接明確に記載することができる。さらに「機能モジュール」が「プログラムモジュール」に修正されたので、技術本質がより反映されたものとなったとともに、通常の「機能性限定」と混同することを避けることができる。

審査指南の改正後は、「すべてコンピュータプログラムのプロセスを根拠にした」技術案を、方法クレームとして記述してもよく、「機能モジュール枠組み」(或いは「プログラムモジュール枠組み」)クレームとして記述してもよく、更に、より直接的な表現方式を採用して、例えば、「メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され且つプロセッサで実行されるコンピュータプログラムとを備えるコンピュータ設備において、前記プロセッサに前記プログラムを実行させる際に下記ステップが実現され……ことを特徴とするコンピュータ機器」、或いは「コンピュータプログラム(命令)が記憶されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体において、当該プログラム(命令)はプロセッサにより実行される際に下記ステップが実現される……ことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体」と記述することもできる。

 

3.化学分野の実験データ補足


改正点

第二部分第10章第3.4節において、第3.4節の(2)の実験データ補足に係わる内容を第3.5節とすると共に、「出願日以降に補足提出された実施例や実験データは考慮しないものとする。」が「出願日以降に補足提出された実験データに対して、審査官は審査しなければならない。補足提出された実験データにより証明された技術効果は、当該技術分野の技術者が専利出願に公開された内容から得られるものでなければならない。」に修正された。

改正の背景と影響

化学分野の実験データ補足はよく見かけるものであるが、現行の審査指南では「出願日以降に補足提出された実施例や実験データは考慮しないものとする」と規定されており、一部の公衆は当該規定への誤解があるかもしれない。

今回の改正により審査官が出願人の補充提出した実験データに対して審査しなければならないことが明確化された。

 

4.無効請求について


4-1.補正方式改正

改正点

(1)第四部分第3章第4.6.2節において、「請求項の合併」を削除するとともに、「請求項のさらなる限定、明らかな誤りの補正」が追加された。また、請求項の合併の定義を削除するとともに、「請求項のさらなる限定」について定義した。
(2)第四部分第3章第4.6.3節において、前記改正により、「併合の方式」を「削除以外の方式」に修正された。ここで、「削除以外の方式」は「請求項のさらなる限定、明らかな誤りの補正」を言う。

4-2.無効宣告の理由の追加及び証拠補足

改正点

(2)第四部分第3章第4.2節において、「併合の方式」が「削除以外の方式」に修正された。
(2)「補正内容について」で無効宣告理由の追加を限定した。
(3)第四部分第3章第4.3.1節において、「併合する方法で補正した請求項」を削除した。

改正の背景と影響

現行審査指南では、無効宣告請求がなされた際に、原則として3つの請求項の補正方式(すなわち、請求項の削除、合併、技術案の削除の3つ)を認めていた。しかし、特許権者は、補正方式がより自由で、また明らかな誤りを修正できることを求めていた。

今回の改正により、無効宣告請求における補正方式の緩和、即ち、請求項のさらなる限定、明らかな誤りの補正ができるようになった。

また、特許権利者が行える補正方式の緩和に伴い、無効宣告請求人による無効宣告理由の追加及び証拠の補足についても調整され、例えば、特許権者が行った補正に対して理由を追加できるようになった。

 

5.包袋の閲覧や複製の緩和


改正点

(1)第五部分第4章第5.2節(2)において、「公開日まで」を削除するとともに、「実体審査段階において出願人に発行した通知書、検索報告及び決定書」を追加した。
(2)第五部分第4章第5.2節(3)において、査定公告が成された専利出願の包袋について閲覧、複製できる内容に、「優先権書類」、「検索報告」を追加した。
(3)第五部分第4章第5.2節(5)の内容である「(5)前述の内容以外の書類は、閲覧、複製してはならない。」を削除した。

改正の背景と影響

現行審査指南では、出願公開されたが登録されていない出願については、一定の閲覧や複製の制限がなされていた。即ち、包袋における公開日までの関連内容のみ閲覧、複製できていた。前記規定は、技術普及に不利であると共に、公衆が特許審査過程情報を直ちに得ること、特許審査に監視を行うことに影響をもたらしていた。

今後は、包袋の閲覧や複製の緩和に伴い、特に実体審査段階における書類を閲覧、複製できるようになる。

 

6.財産保全による中止の改正


改正点

(1)第五部分第7章第7.4.2節において、「中止期限は一般的に6ケ月とする。民事裁定書の受取日から6ケ月間経過した場合、当該中止手続が終了する。」を削除するとともに、「民事裁定書及び執行協力通知書に明記された財産保全期限に基づき関連手続を中止する。」を追加した。
また、「中止手続は6ケ月間更新される。同じ法院の同じ案件に対する執行手続における保全裁定について、専利局での中止期限は12ケ月を超えないものとし、審判手続における保全裁定については、専利局での中止期限は適宜延長してよいとする。」を削除するとともに、「中止期限は更新される。」を追加した。
(2)第五部分第7章第7.4.3節において、「又は人民法院の財産保全の執行協力要請による中止については」を削除した。
(3)第五部分第7章第7.5.2節において、「中止の期限は6ケ月とする。」を削除するとともに、「中止の期限は民事裁定書及び執行協力通知書に明記された財産保全期限とする。」を追加した。

改正の背景と影響

2013年1月1日より新民事訴訟法が施行され、関連機関による差し押さえや財産凍結などの執行協力義務に対する要求が強化されている。

人民法院が国家知識産権局に財産保全の執行協力で手続の中止を要請する場合、専利局は民事裁定書及び執行協力通知書に明記された財産保全期限に応じ関連手続きを中止しなければならなくなる。また、中止期限満了後も、人民法院が財産保全措置の継続を要請し、それが規定に合致した場合、中止期限は延長されることとなる。

人民法院が国家知識産権局に財産保全の執行協力で手続の中止を要請する場合、専利局は民事裁定書及び執行協力通知書に明記された財産保全期限に応じ関連手続きを中止しなければならなくなる。また、中止期限満了後も、人民法院が財産保全措置の継続を要請し、それが規定に合致した場合、中止期限は延長されることとなる。

 

本改正についての詳細な解説は、日本弁理士会の会誌「パテント」(VOL.70 No.8)に掲載されています。

中国知的財産サービスセンターによる中国特許出願関連サービスのページはこちらをご参照ください。