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あいあーる語録10選

1

特許明細書は「発明の説明書」である。技術の説明には「文才」は要らない。即ち誰もが理解できる日本語で書くこと、他言語に変換することを意識して書く「心」が必要である。

2

技術仕様書は、背景の異なる人たちにも理解できるように明確に記述せねばならない。そのためには論理的思考を身につけ、記述する訓練をする必要がある。日本人は論理的に表現することが苦手と言われている。英語が論理的表現に適している言語とすれば、その対極にあるのが日本語である。

3

我々は文化を同じくするもの同士であれば、情報の意思の交換に何ら支障もない言語を手にしているし、他言語のそれを日本語に転換する上での柔軟性も十分に持った言語を母語として享受している。しかし、一方において世界の人々を相手として意識したときに、誰にでも理解できる平明な表現で、ということを我々日本人は意識してきたであろうか?残念ながら否である。実は日本語は極めて完成度の高い言語で、これを論理的に表現することは、十分に実現できるのである。

4

技術は、普遍性のあるものであるから、それを記述する際には、文化的な要素はできるだけ排除されている。つまり、英語パテントを読む上で、アメリカ文化は知らなくても良い。従って、オープンイングリッシュの一つとみなす事ができる。

5

特許の権利は、言語で請求する(claim)必要がある。発明の現物を示しても誰も認めてくれない。世界の中で唯一の汎用言語は英語である。従って、世界の中で権利を主張するためには、否応なく、英語で行なうことが必要となる。そこでは、単に文法的に正しい英語で記述するということだけではなく、権利を獲得するために、英語のベースとなっている思考方式(ルール)の上で主張する必要がある。

6

IP戦争は言語の戦争である。世界で使われる言語は英語である。日本にとって、これほど不利な条件で戦わなければならない例は、歴史上一度もなかった。製品の品質や価格で勝負するのとは違う舞台で戦わなければならないのである。そのためには、英語にも強く、情報分析もできる数多くの戦闘部員をできるだけ短期間に用意しなければならないはずである。

7

日本企業の製品に対する品質チェックは厳しく、品質保証体制がしっかりと構築されている(最近は怪しい)。品質に疑問があれば、出荷を停止する抑止力も働く。しかし、外国への特許出願明細書にはチェック体制すらなく、不良品と分かっていても平気の平左で出荷している現実が信じられない。大金をドブに捨てているだけでなく、改善をしようともしない、これが一番「ダメ」な人材である。

8

確かにクレーム(特許請求項)は特殊な記述方式が取られているので、一見したところ難解である。発明の詳細説明も、漏れがないように詳細に書かれているので読んでいて嫌になるが、背景や要約は通常の文書文である。むしろ、論理的に、構造的に記述されているので、新聞記事や下手な論文よりもずっと平明である。実は特許英語文はやさしかったのである。

9

英文特許文章は難しいと言われているが、実は大きな考え違いをしている。アメリカ特許法には「誰もが理解できるように書く」ように規定されている。ということは曖昧な言い回しはなく、事実を明確に論理的に記述しているだけである。従って、英文特許文章の英文構造をひもといて、いくつかの構造パターンを身につけてしまえば、スイスイと読めるようになる。また、アメリカ人エリートが書いたアメリカ特許文書を真似て書けば、書くことも困難ではなくなる。英文特許文書はシンプルで実に優しいのである。

10

特許明細書は文明としての技術を言語で記述したものであり、また、発明を開示してその権利を獲得するために、そこには一定の様式、あるいは常用の様式があり、記述を真似ることは可能である。