記事・コラム

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海の波から電気を作ろう、あるいは英国もやるね

海の波から電気を作ろう、あるいは英国もやるね

事実を知ればニーズが見える。
事実を知らなければ、隣の家の真似をするだけ。

英国の小さな会社「オーシャン・パワー・デリバリー Ocean Power Delivery」が、ポルトガルのコンソーシアムから世界初の商用の海洋波発電装置を受注し、本年(05年)5月にその第1号機を納入したとのことである。

製品名「ペラミス Pelamis」と呼ばれるこの「Wave Energy Converters」は、ポルトガルの海岸から5キロメートルの沖合いに設置され、当面は、2.25メガワット(MW)を出力し、1500世帯への電力を供給する予定とのことである。最終的には20MWの出力を確保するだけの装置を設置するねらいとのことだ。もちろんこの第一ステージでのパーフォーマンスが満足のいく結果を出してのことであるが。

細長いドラム缶様の筒がいくつもつながれており、波の動きで上下して発電する仕掛けらしい。ここに至るまでに、すでにスコットランドの沖合いで何年も実用テストをしてきたとのことだから、発注したほうも本マジで発電する気なのだろう。

Ocean Power Delivery Ltd

has developed

a novel offshore wave energy converter

called Pelamis.

-同社の新聞発表記事から引用-
オーシャンパワーデリバリー社は
ペラミスと呼ばれる
画期的な沖合い用の波エネルギー転換機を
開発した。

The first full-scale pre-production prototype

has been built

and

is being tested

at the European Marine Energy Centre in Orkney.

最初の全面仕様の量産前プロトが
製造され
オークニー(諸島)にある欧州海洋エネルギーセンターで
テストが継続されている.

何かで読んだだけで不確かなのだが、地球上の海洋エネルギーの0.5%を利用するだけで、全世界のエネルギー需要(電力に限る?)を賄えるとのことだから、「海洋国日本」としては、世界の真っ先駆けて、実用化に取り組む課題だと思うのだが、どうも、政府も大企業も本気を出していないようだ。ヨーロッパやアメリカがガンガン行き出すと、遅れてはならじと後追いが始まるのだろうが、いつもいつも後追いでは、情けない国と思われても仕方がない。日本には、波だけでなく、世界に冠たる潮流「黒潮」も対馬海流もあるのだし、日本海溝という深い海の冷たい海水と上層の暖かい海水の温度差も激しいのだから、利用する環境には恵まれているはずなのだが。

世界の60億の民の大半が必要としているのは、デジカメやDVDではなく、生きるための水と食糧と電気エネルギーなのだから、短期の利益ばかり追求していないで、もう少し長期的な視野で動く大メーカーがあってもよさそうだが。

(05.10.24 篠原泰正)