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日本企業が出願した中国登録商標に類似商標に関する情報

 近年、日本企業の商標が中国で冒認出願されるという問題が続々と発生しています。その対策としては、自社商標を早めに中国商標登録出願することが一番望ましいですが、その他、出願後も関連区分において類似商標に対するウォッチング調査をすることも重要です。

 日本の大手企業が、自社商標を出願すると共に第三者による類似商標の出願情報のウォッチング調査も行っていますので、以下にその事例をご紹介します。

 

CASE1 株式会社リコー

自社出願による商標 第三者出願による商標
出願番号:1179692
区分: 7類
出願日:1997年4月23日
出願番号:4918204
区分: 7類
出願日:2005年9月26日
出願人:顧雪平  法律状態:異議中
出願番号:1993639
区分: 9類
出願日:2000年9月19日
出願番号:3859884
区分: 7類
出願日:2003年12月24日
出願人:斉連会  法律状態:異議中
    出願番号:4852830
区分: 9類
出願日:2005年8月23日
出願人:高双年  法律状態:異議中
    出願番号:3805137
区分: 9類
出願日:2003年11月18日
出願人:田志遠  法律状態:異議中
    出願番号:3859883
区分: 9類
出願日:2003年12月24日
出願人:斉連会  法律状態:異議中

 上記第三者による商標5件の指定商品は、自社出願した商標「理光」の指定商品に類似しないので、中国商標局の初審において類似商標と判断されず公告されました。三ヶ月の異議期内に異議が申立てられ、現在審査中で登録されていません。ウォッチング調査などをしていなければ、上記商標は全て登録されてしまうのです。指定商品が異なっていても、同類商品、例えば電池、電線などに使われた場合、商品分類に詳しくない一般消費者に誤認させる可能性もあります。

 中国登録出願商標が初審公告された後、3ヶ月の異議期限がありますので、ウォッチング調査を行って、早く権利侵害商標を発見すれば、期限内に異議を申立てることができます。

 

CASE2 カシオ計算機株式会社

自社出願による商標 第三者出願による商標
出願番号:1313851
区分: 9類
出願番号 3790184
区分: 9類
出願日:2003年11月10日
出願人:洪碎玲  法律状態:異議中
出願番号:174422
区分: 14類
出願番号:3895585
区分: 12類
出願日:2004年1月20日
出願人:黄周彪  法律状態:異議中

 ①の商標はカシオ計算機の登録商標と全く同じロゴですが、使用商品が類似ではないので、初審を通過しました。①の使用商品は「眼鏡」などです。しかし、カシオ計算機株式会社の商品は9類の電子機器のみではなく、14類の録音機器や時計などもあります。商標出願区分では、「時計」と「眼鏡」は別々になっていますが、中国のデパートなどでは、「時計」と「眼鏡」の売り場は非常に近いところにあることが多いですので、同じ商標「?西欧」を有する時計と眼鏡が同じ会社の商品であると思われやすく、消費者に混同させやすいです。

 

CASE3 株式会社西松屋チェーン

 株式会社西松屋チェーンは中国進出するため、3、5、10、12、16、18、20、21、24、25、28類において、中国商標登録出願を43件提出しました。しかし、主要商品である子供洋服の商品区分25類では、商号「西松屋」及びウサギの商標が登録されていません。原因は5ヶ月早く出願された2件の中国商標にあると思われます。

自社出願による商標 第三者出願による商標

登録区分:
3、5、10、12、16、18、20、21、24、28

中国で最初の出願日:
2004年10月25日

出願番号:4077814
区分: 25類
出願日:2004年5月24日
出願人:石家荘恒通宏業貿易有限公司
法律状態:異議中
出願番号: 4077815
区分: 25類
出願日:2004年5月24日
出願人:石家荘恒通宏業貿易有限公司
法律状態:異議中
出願番号: 5083680
区分: 35類
出願日:2005年12月26日
出願人:王則棟
法律状態:登録

 上記①と②の商標は2件とも異議中になっていますが、異議申立てられたのはこれらの商標が初審公告された後の2007年の12月25日です。株式会社西松屋チェーンが「西松屋」を出願できたのは、2007年4月16日になってしまいました。異議申し立てが成功するかどうかは審査によりますますが、たとえ成功したとしても、株式会社西松屋チェーンの商標「西松屋」が登録されるのは、2010年以降になるでしょう。最初の出願がたった5ヶ月遅くなっただけで、5年以上待たなければならないことになってしまったのです。

 上記③の商標は2009年4月13日既に登録になりました。期間内に異議申したてられたかどうかは、現在確認できていません。本件商標の区分は35類の【広告・実業営業・管理・オフィス事務】などで、株式会社西松屋チェーンの商品に関連がないように見えますが、本件商標の指定役務は「輸入出の代理、販売、展示会、広告、商品の展示」などです。例えば、洋服などの商品を展示する時にこの商標を使えば、一般消費者に展示された洋服は西松屋と関連があるように連想させる恐れがあります。ですから、自社の関連商品のみではなく、できるだけ広い範囲で商標出願して、その後商標のウォッチング調査を行うのが望ましいです。

 

CASE4 ピジョン

 ピジョンは中国進出するため、3、5、8、9、10、11、12、16、18、20、21、24、25、26、28、30、35、41、43、45類で、中国商標登録出願を68件提出しました。しかし、第三者によってピジョン社の中国商標名「貝親」で出願された商標が2件あり、それはピジョン社が出願していない29類と31類での出願です。

自社出願による商標 第三者出願による商標

出願番号:3138770
区分: 29類
出願日:2002年4月8日
出願人:芜湖品格食品有限公司
法律状態:争議審査中
出願番号:4077815
区分: 31類
出願日:2006年8月23日
出願人:陳冠彦
法律状態:登録

 ①の商標は現在争議審査中ですが、既に登録された商標を無効にすることは、異議よりも難しいです。②の商標は2009年5月28日に登録公告が発行されたばかりで、異議があるかどうかについて、まだ確認できません。

 31類は動物食品の区分なので、ピジョン社の商品と関連がないと思うかもしれませんが、子供用品と同じ商標の動物食品に好感を持ったり、ピジョン社の製品であると思い込んでしまう人がいたりするかもしれません。

 

CASE5 ワコール

自社出願による商標 第三者出願による商標
出願番号:881415
区分: 25類
出願日:1994年10月18日
出願人:株式会社ワコール
使用商品:服装、靴、帽子
出願番号:4781832
区分: 25類
出願日:2005年7月18日
出願人:楊雪鈴
法律状態:初審合格(異議期間内)
使用商品:赤ちゃん衣類、水着
出願番号:4970811
区分: 25類
出願日:2005年10月31日
出願人:楊雪鈴
法律状態:初審合格(異議期間内)
使用商品:服装、下着、ブラジャー、など

 上記二つの第三者による商標とも同じ出願人(個人)によって出願され、中国商標局の審査を通過しました。異議なく登録になった場合、25類の指定商品に使用することができ、特に、②は、ワコール社の商標の使用商品の類似商標に使用することができます。中国でもワコール社の下着などは人気がありますので、ヒット商標を使用した商品をみて、誤認又は関連商品と思われる恐れがあると思います。

 

CASE6 資生堂

自社出願による商標 第三者出願による商標
出願番号:5729440
区分: 11類
出願日:2006年11月17日
出願人:毕仕勇
法律状態:初審合格(異議期間中)
使用商品:電気、炊飯器、加熱装置、等
出願人: 株式会社資生堂

 株式会社資生堂は化粧品などで有名な会社ですが、商標のゴロが同じで、全く違う区分(分野)に出願することもあります。法に従えば、このような商標は類似商標にならなく、初審を合格してしまったのです。この商標案例を見て、類似商標の判断の限界について、ちょっと考えさせますね。

 

 

 

 

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